筆界特定 

 


筆界とは


 そもそも筆界とは、明治初期に地番が付された時の境界であり、それを原始筆界と呼んでいます。その後、分筆等で地番が付され、 筆界が逐次形成されていくわけです。要するに地番が作成されたときに筆界は決まり、その後、 所有者同士でその筆界をこっちに移動しようとかが出来ない境界が筆界とも言えます。そんため「公法上の境界」とも言われます。
それと相対する境界に「私法上の境界」とも言われますが、自分たちの所有権に基づき、 当事者間で合意された境界のことを所有権界と言います。 まあ、通常この2つは一致していることが多いのですが、そうでない場合もあります(例参照)。 いずれにせよ、筆界が分からなくなった場合に、それを専門的 に特定してもうら制度があり、それを筆界特定制度と言います。

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たとえば、もともと筆界があるのを「100万円出すから、境界を1m移して塀を造ろう」と所有者間で合意したとします。 そうすると境界は1mずれます。しかし筆界はそのままなんです。ずれた境界を所有権界といいます。 そのままですと問題がおきますので、やはり1m分だけ分筆をして地番を付けることで新たに 筆界を作って、所有権移転登記をするのが手続きになります。しかし、1m分を分筆しないで、 そのままにしていて50年経ったとします。以前のことなど知らない人達が境界を確認することになりました。 測量したところ、どうやら昔の境界から1mくらい現況の塀がずれていることに気付きます。ただ、この塀のまま ずっとお互い納得して今まで暮らしていた。こういう場合に、もともとの線が筆界であり、 今塀が1mずれている線を所有権界と言うわけです。
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どうして筆界特定申請をしなければならなくなるのか


(1)どうしても隣地の人が立会に応じてくれない。
   どちらかというと消極的拒絶とでもいいましょうか。要するに、例えば境界は  もめていないんだからなぜ今になって決めるんだ。余計な争いごとを持ってきては困る。  他に筆界を証明する資料もなく、どうしても筆界が確認できない場合。

 (2)筆界の主張線が違う。
   お互いの認識が違い、主張線が異なる場合。そうしますと、例えばこれから土地を売る場合などに、 分筆ができなくなるわけです。そういったときにこの 制度を利用して筆界を決め、土地が分筆可能となります。


実際の流れ


 われわれ土地家屋調査士が測量をしていて、どうしても一人だけ筆界が決まらなかったとします。 そこで、筆界特定制度を利用することを依頼者と相談して決めたとします。 そうしますといろいろな資料をまとめて、管轄の法務局か筆界特定登記官に申請をします。 (ここでは代理人は土地家屋調査士としますが、弁護士等にも依頼することができます。) そこから、公告、実地調査、測量費用の予納、特定測量、意見聴取、筆界特定という順番で特定されていきます。 期間はさまざまでしょうが、1年以上にわたる場合もあります。

当事務所では、過去に4件申請をしております。その内2件が、筆界特定に至り、あと2件については取下げになりました。 取下げと言っても筆界が決まらなかったわけではなく、筆界特定の申請をきっかけに、近隣の方と真剣に話ができるようになり、 筆界について当事者間で合意に至り、取下げをしたという経緯です。


筆界特定されるとどうなるか


 筆界特定書というのが交付されます。これに従い、地積更正や分筆などの登記申請ができます。 しかし、この筆界特定が不服ならば、筆界確定訴訟という裁判をおこして、筆界特定の境界を覆すという余地は残っております。 ただ、専門家が集まって特定していった筆界を覆して線が変わるといった例は非常に少ないようです。

※参考文献  日本加除出版  「境界の理論と実務」  寶金 敏明

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